About 管理人ぽんぽこきつね:これからする話を聴いて、あなたはとても嫌な気分になるかもしれません。多少の自慢話や不幸なシンデレラ気質の文章を含みますので、人によっては今は読まない方がいい人もいるかもしれません。
ではなぜ書くのか?
それは、あなたが今抱える悩みが少しだけ軽くなるかもしれないと思ったからです。これから書くことはなぜぽんぽこがブログを続けているのかについてのお話です。
それをあなたが知ることで、きっと何かが変わるはず。そう思って書く事にしました。
実は、管理人のぽんぽこきつねには向き合いたくない過去がありました。
文章が少しばかり長くなってしまったので時間がある時に読んでもらえると助かります。
では、始めます。About 管理人ぽんぽこきつねについてです。
管理人はあなたが嫌いになりそうな人?
これから書く話を読んで、あなたがぽんぽこの事をどう思うかは別の話として、小さい頃、ぽんぽこはきっと同世代に嫌われる人の代表のような存在でした。
見た目や頭が良かったばっかりに、なんでも自分の思い通りにならないと気が済まない高飛車だったのです。
小さい頃からいい意味でも悪い意味でも人一倍目立ってしまう傲慢な存在。そして大人たちの期待に応えるべく、決して期待を裏切らないように常に必死に生きてきました。
勉強は学年トップ、先生からは真面目でしっかりものの優等生というイメージ。学級委員ばかりやっていたことも好印象だったでしょう。
しかし、実際のぽんぽこは周囲の人と関わるのが下手くそで、嫌な事があればすぐにヒステリックを起こしてしまう。
伝わらない、伝わらない、伝わらない。なんでぽんぽこはこんなにも人と違うんだ。なぜ…。
そしてストレスにより失語症に陥り入院。
メンタルがぽんこつだったのです。
しかし先生たちが付ける成績表には常に真面目で温厚に◎が付き、きっと普通なら周りに自慢したくなるような文句の付け所が無いオールA。高校受験も推薦で合格し、スパルタ教育だった親も成績だけで言えば満足していた事でしょう。
そこでぽんぽこは勘違いを起こします。
「きっと選ばれた存在なんだ…」と。
卒業式に学校から優良生徒として表彰されて貰った賞状を握りしめて、ぽんぽこはそんな事を思いました。
アイドル・芸能人・受験生
人よりも恵まれた外見に生まれ、運動も得意、勉強も申し分ない。ただひとつ、メンタルだけがぽんこつだったぽんぽこは、周りと合わせられない理由、人と違う理由を「選ばれた存在」だと勘違いし、アイドルを目指します。
ダンスを習い、歌って踊れる何かを目指しました。
駅に出てはパフォーマンスを行い、もらえたお金で美味しいものを食べて帰る。アイドルになるためには何をしたらいいかよくわからずにやっていたそんな日常。
しかし、ある程度続けていく中で、周りは歌が上手い人だらけで、上には上がいる事を知ったぽんぽこは歌で勝負するのは現実的ではないという事を悟りました。
アイドルでなくても構わないのです。みんなからキャーキャー言われる存在。マルチタレントのような何か。
そこで考えたのは、クイズ番組はどの時代にもあったし、名札を持っている事は大切だという事。
もちろん、必須というわけではないけれど、「高学歴」というラベルは、ないよりあった方がいいだろうと思ったぽんぽこは、大学ブランドを手に入れる為に浪人生活を決意します。
アイドルを目指していたため、大学受験は全く考えていなかったのです。
スタートラインの判定はE判定(大学を考え直せと書かれていた)。偏差値38からの大学受験です。
浪人というと予備校に通うのが定番なのでしょうが、ぽんぽこは人と関わることが出来ません。人に教えてもらうことが出来ないのです。
そこで選ぶのは自宅浪人。自分でなんとか勉強をし、大学を目指します。
一人の勉強は楽しかったですが、受験が迫る1月には自分のいる位置がわからず不安になり、年明けから受験まで全く勉強が手につきませんでした。人と関わるのが苦手とかいいながら、人と比較してしまう自分。
そして受験当日。滑り止めなどを受けず、一つの大学の文学部と教育学部だけを受けたぽんぽこは、試験へのプレッシャーで眠れないまま試験日を迎えてしまい、英語のテスト中に寝ました。目が覚めた頃には残り時間20分…。
終わった…。失敗したんだ、ぽんぽこの受験は…。
諦めたらそこで…
完全に諦めモードのぽんぽこでしたが、かの有名な安西先生が言っていた言葉を思い出します。
諦めたらそこで試合終了ですよ。
ひとつの教科を落としても残りの教科で満点近く出せば受かる。まだ終わっていない。ぽんぽこはペンを取り、出来る限りの穴を埋めました。
テスト中に寝てしまって焦りましたが、その睡眠が逆に頭をすっきりさせ、試験問題が手に取るようにわかります。やるだけの事はやれ!受験料3万5千円を無駄にするな!
そして試験終了。ぽんぽこはその足で、1年ぶりに髪を切り、身なりを整え、おばあちゃんのお墓参りに行きました。
受験結果がどうであれ、無事一年間戦う事が出来ました。ありがとうございます。どうかぽんぽこを芸能の道に進ませてください。
受験の結果が出た後のこと…
合格発表というと、“自分の数字が書かれた紙を持ち、掲示板にずらっと並んだ番号から見つけ出す”というのを思い浮かべますが、ぽんぽこの受けた大学の合否発表は電話でした。
ロボットの自動音声が流れ、自分の番号を入力。そしてロボットが結果を告げるのです。
「おめでとうございます。合格です」
1月から何もしていないぽんぽこを見ていた両親はぽんぽこが何度受かったと告げても信じてはくれませんでしたが、ロボットの音声を聴いて、やっとそこでおめでとうと言ってくれました。
結果的に文学部、教育学部両方ともに合格しており、ぽんぽこは文学部に入学することに決めました。理由は浪人生活中に読んだ芥川龍之介の杜子春が面白かったからです。
大学に受かったら次は芸能界の門を叩く事。芸能人になるために大学を受験したのですから。
大学に入学後、様々なサークル勧誘がありましたが、どれもこれもバカみたいにお金が飛ぶ模様。毎週のようにお酒を飲み、毎月のように旅行に行って親睦を深める。
それはそれで楽しそうではありましたが、タレント養成所に通うお金を貯めなければ行けなかったので、サークルは諦めました。
サークルに入らなかったぽんぽこでしたが、それからまもなく大学のコミュニティはサークルが9割を占める事を知りました。
周りがどんどん友達グループを形成していき、そのつながりのほとんどがサークル仲間なのです。
当然ながら、サークルに入らなかったぽんぽこはひとりぼっちになりました。
芸能人になるために大学に入ったんだ。別にぽんぽこは学生ライフを満喫したいんじゃないんだ。そう何度も言い聞かせました。
しかし、大学生は2割程が入学後のぼっちに耐え切れなくなり心の病気になるんだそうです。
テレビドラマや漫画で大学生活を取り扱った作品が脚光を浴びていたのもあり、どうしても自分の大学生活と比較してしまう。
あんなの反則。現実は光ばかりじゃないのに。189円で食べられるチキン和風おろしを学食で頬張りながらそんな事を思っていました。ちょっとずつ蝕まれていく心。
…とまぁ、大学生としての生活にグチグチいいながらぽんぽこはアルバイトに明け暮れました。
一年間で無事にお金は貯まり、大学二年目でタレント養成所に入りました。
タレント養成所での授業に触れた時は「これだ。ぽんぽこが求めていた世界はコレなんだ!!」と感動したのを覚えています。色々な考えを持った同期生。考え方は様々で、話をしていて初めて話が伝わる!と思いました。
やっと自分と同じ考えを持った人たちに出会えたのです。ぽんぽこはちょっぴり感動して泣きました。
選抜クラスに選ばれる管理人
養成所では主にボイストレーニング・ダンス・エチュード(即興劇)・歌などの授業がありましたが、アイドルを目指していたぽんぽこにとっては得意なものが多く他の生徒よりも目立つことが出来ました。
その結果、数百人いるクラスで10名しか入れない選抜クラスというものに入る事が出来ました。
選抜クラスはとても優遇されて授業が受ける事が出来るわけですが、この選抜クラスというのも入学してすぐに決められてしまうので本当にラッキーでした。
世の中のほとんどの事は、よーいドンで始まるのではなく、スタートまでにどんな準備をしてきたのかが大事なんだなぁってその時に学びました。
そう考えると自分でアイドルを目指していた事も無駄にならないわけで、自分の生き方がどういう形で役に立つかわからないからがむしゃらに生きるって本当に大切。
しかし、アイドルを目指していたぽんぽこが苦手だったものがありました…。
頭と行動が一致しない
ぽんぽこが苦手だったもの。それは「演技」です。
たとえば頭の中に素晴らしい演技はこういうものだというビジョンがあったとしても、それを実際に自分の身体で演じてみると理想とは程遠いものに仕上がるのです。
頭ではわかっているのに、それを表現できない。
パッションだけで生きてきたぽんぽこにとって演技がこんなにも難しいものだとは思いませんでした。
例えば面白い題材の演劇があったとしても、それをちゃんと表現が出来ないといけません。台本を読んでいる時は面白いのに自分が演じると全然面白くないのです。歌が下手な同期生が演じた方が何倍も面白く見える。
今まではなんでもそつなくこなしていくことが出来ましたが、演技に関しては全くダメでした。
自分の頭と自分の行動が一致しないのです。
頭の中にある理想を表現出来ない事がここまでストレスになるとは思いませんでした。
毎日、毎時間、毎分…いや毎秒演技について考える日々が続きました。頭の中が演技で囚われていたと言っても過言ではないでしょう。
そんな1年間のタレント養成所生活を卒業後、事務所所属になったぽんぽこは、毎月1、2回ほど小さな舞台に出演し、大学の授業とバイトの日々を送ります。
CMにちょこっと出るぐらいの仕事しかないのでタレント一本で食べていく事は出来ず、大学を辞める事も出来ません。
教職の資格を取るというのが親と約束したタレント養成所に通う条件でもあったので、大学の授業も夜の21時10分まで受ける事が常でした。
大学在学中の睡眠時間は2〜3時間程と体力的にはきつかったですが、すごく充実した日々だったと今では思います。全力で走ったなと思えるのはあの頃だけかもしれません。
大学卒業後、その生活は変化を迎えることになります。
時間、苦悩、挫折
大学卒業後、あれだけの授業を詰め込んでいた時間がぽっかり抜けたので、ぽんぽこには時間的な余裕が生まれました。芸能界で生きると信じていたので就職もしませんでした。
しかし、そのたっぷりある時間がぽんぽこに余計なことを考えさせ始めます。時間的余裕が増えるという事は不安と向き合う時間が増えるということ。
同期生たちがどんどんテレビに出ていく。ぽんぽこの同期生は当たり年だったのか、デビューしてすぐにテレビで活躍する人が多かったのです。
オーディションを受けては落ちる。色々なものを見て勉強しなければならないのに、色々な人を見ては自分の持っていない魅力に気が付いてしまい落ち込む日々。
タレントになることは簡単。売れるのが難しい。中学生の頃に言いまわっていた「夢は芸能人です」というのは叶えた。
でも問題は芸能人になってから。スタートラインに立っただけ。中学生の頃の夢は決してゴールではなかったのです。
芸能人にさえなってしまえば、あとはうまくいくはずと信じていたのに。
…いくはずだったのに。
今まで何不自由なくある程度うまくいっていた自分。勉強もやれば出来る。どんなスポーツも運動神経でカバー。人ウケもよく、好印象をもたれやすい。メンタルこそ弱かったものの、挫折を知らずに生きてきたぽんぽこは初めて挫折に似たようなモノを感じ始めていました…。
aiko、恋人、結婚
そんな感じで生活を続ける中で、ぽんぽこは大きな出会いをします。
aikoさんが大好きだったぽんぽこはライブによく行っていたのですが、フレンドリーなaikoさんのライブは時々知らない隣のお客さんと手をつないでジャンプをしたりします。
たまたま隣になった人が意外にも自分の住んでいる家のすぐ近くだと知り、舞台が好きだという事を聞きました。まだそれほど有名ではない同期の名前ですら知っているのです。
それきっかけで仲良くなり、恋人になりました。
しかし、ぽんぽこはメンタルが弱いばかりに相手に依存するようになりました。
そして相手を振り回してしまい、駆け落ちしてしまうのです。
きっかけは相手のおばあちゃんが痴呆症になり、介護疲れから相手の母親がうつ病になってしまった事でした。
会社の社長だった相手の父親はその理由をぽんぽこの恋人が恋に現を抜かしているせいにしてきました。
小さいころから傲慢だったという話を聞かされていたぽんぽこは、そんな環境からは逃げて良いよと提案してしまいました。
そして二人で駆け落ちをして暮らしてしまったのです。
同棲を始めた当初はまるで新婚のようだなと楽しさが勝っているだけで、相手もニコニコしていましたが、ある日の夜、家族を失った悲しさを嘆いている相手を見たぽんぽこは、この人の家族になって支えようと結婚を決意しました。
そして二人は夫婦になったのです。
家族とは当然そこにあって、そうあるべきもの
そんな中、二人の間に子どもを授かりました。嬉しさとともにぽんぽこは考えるようになりました。
相手の両親と仲直り出来ないものかと。
これから親になるにあたって、親の気持ちを理解出来ずにいるのは嫌だったし、生まれてくる子どもに親の都合だけでおじいちゃんおばあちゃんがいないのは申し訳ないと思ったからです。
時間は経っているものの、駆け落ちをしてしまった手前、会いに行くのは気が引けました。
しかし、向こうのお義母さんと連絡を取り、なんとかお義父さんともう一度話が出来る場を作ってもらいました。
それでもやはり社長というのは我が強いもの。
場を提供してもらったものの、話はどんどん悪化していくばかり。同じような結末を迎えてしまうのかな、やっぱり分かり合えないのかなと悲しくなりました。
舞台に立っていたにも関わらず、ぽんぽこは二人の気持ちですら動かすことが出来ない。自分が情けなくなり、気がつけば涙が止まらなくなりました。
ぽんぽこはまとまらずに終わってしまう話の最後に、こう聞かなくてはならない気分になりました。
「お義父さんは最後に自分の子供を大事だと思ったのはいつですか」
「いつだって大事だと思ってる。思っているから〜」
今まで自分の子供の悪い所しか指摘しなかったお義父さんがウソのように良い所を挙げ始めました。その話を聞きながらぽんぽこは更に涙が流れました。
そして相手に泣き顔を見せると、
「なんで泣いてるの?」と聞かれたので、
「ごめん。ぽんぽこが思っていたよりもお義父さんはいい人なんだもん。このままバイバイなのはやっぱり悲しい」
と素直に答えました。
その瞬間を皮切りに相手もお義父さんの悪口ではなく今までこういう事をしてくれた。この時はすごく感謝した。などなど、肯定的な事を言うようになったのです。
結果的に紆余曲折を経る形にはなりましたが、なんとか話をまとめ、相手の両親たちとも再び会えるようになりました。
今まで喧嘩別れをしていたのがウソのようにご飯に誘ってくれたり、孫が生まれるとのことで子供服を買ってくれたり様々な事をしてくれました。
ぽんぽこの両親と相手の両親の顔合わせをした食事も行い、本当に両家が結婚を認識することが出来ました。
芸能生活は上手く行っているとはいえませんでしたが、ぽんぽこは幸せでした。とても。家族ってなんだかんだいって良いものです。
ぽんぽこも子どもが生まれたら、その子どもに「家族っていいね」と言われるようなそんな親になりたいと、ぽんぽこはその時、ささやかに考えました。
幸せはいつだって人間を裏切る…
赤ちゃんが遊ぶグッズなどがぽんぽこの家に並ぶようになり、子どもの名前なんにしようかな…と考える事が多くなりました。
ぽんぽこの子どもは男の子なのかな。女の子なのかな。ぽんぽこはどちらの名前も考えていました。それが楽しかったのです。
そして病院の定期検査。
今の技術はすごいものでお腹の中にいる子どもの写真をその場で見せてもらえます。
ぽんぽこは男の子なのか女の子なのか言われちゃうのかな。とドキドキしながら先生の話に耳を傾けました。
…ただ、先生が告げたのはこの子が障害を持っているという事だけでした。
ぽんぽこはそれからの事はほとんど覚えていません。いや、障害があろうとなかろうとぽんぽこの子。絶対に幸せにするんだと考えたまでは覚えています。
でも、すぐにその子は死にました。
男の子でした。こはるくんと名前をつけたその子は、この世に産み落とされ、世界を知る前に家族とはどんなに素晴らしいものかを知るまでもなくぽんぽこの前から去って行きました。
原因はわかりません。ぽんぽこにあったのか。相手にあったのか。たまたまなのか。なんなのか。二人は落ち込み、たくさん泣きました。
でも。でもね。
そんな時こそ笑わなきゃならない。ぽんぽこは演技をする人だから、悲しい時こそ、笑顔にならなきゃ。泣いてると辛いから、二人で笑顔の時間を増やすように努力する。
ぽんぽこたちはなんとかその悲しみから抜け出し、前よりも一層お互いを大事に思い、暮らすようになりました。どんなに辛くても笑っていればなんとかなる。
そして…。
挫折なんてものは絶望でも何でもない
ぽんぽこたちは再び新しい命を授かりました。産婦人科の先生はよく乗り越えたねと言ってくれました。その言葉を聞き、胸にしまっておいた涙が溢れ、笑顔が涙で輝きました。
両親に報告し、本当におめでとう、頑張ったねと言ってもらえました。そこでも涙が流れました。
相当の無理をしていたのかもしれない。悲しみに蓋をし、笑顔で生活する。相当の悲しみを胸にためていたのかもしれない。それが今、取り除かれ、本当に心から笑えるようになったのかもしれない。
新しい命に名前を付ける為に、再び色々と調べ回りました。名前をつけるって実は人生の中でも最大の愛情表現。その子の人生を見守ってくれる名前。
うーん。うーん。
やはり名前を考えるのは楽しい。
今度は事前に男の子か女の子か教えてもらっていたので、考えるのは女の子の名前だけ。どういう名前がいいかな。
ぽんぽこは相手の名前から一文字取りたい。ぽんぽこの名前は…まぁ、遺伝子に刻んでくれるだけでいーか。なんて考えたり。
うーん。うーん。
そうだ!これにしよう!
…そしてまたその女の子は死にました。
同じことの繰り返し。かのんちゃんはこの世に産み落とされ、誰かに恋することもなく、ぽんぽこたちと喧嘩をして家出をすることもなく、仲直りすることもなく、ぽんぽこの目の前から消えました。
そこでぽんぽこたちは壊れました。
生きてる事はそれだけで幸せ
今度は涙も出ませんでした。笑えませんでした。ぽんぽこたち二人はお互いを思いやることも出来なくなり、怒りをぶつける日々が続きました。
そして心の病気になり、お互いの両親の仲介のなか、離婚することにしました。
あっという間でした。
幸せを感じていたあの頃。家族とは素晴らしいものだと感じていたあの頃。将来は幸せな家族を築きあげるんだと決意したあの頃。
それらすべてが嘘のように過去になり、広い部屋で独り、二つの骨壷を眺める日々。
子供の位牌の前に水をあげて、そのコップの水が消えるまでひたすらコップを眺めて過ごすだけの一日。
ぽんぽこは気が付くと、笑っていました。笑いが止まらなくなりました。そして、いくら蓋をしても蓋をしても飛び出てくる哀しみ。
止まらない笑い。
次第に感覚がなくなっていく心。
笑い疲れてもなお笑いが止まらない。ぽんぽこは薬瓶を取り出し、ひとのみ。置いてあったウィスキーで流しこむ。
久しぶりにお酒を飲んだ…。
生きてさえ。生きてさえいればそれだけで何が起きても、幸せな事だったんだなぁ。そんなことも知らなかった。
幻聴、人間不信、逃亡
気が付くと目の前には両親と大学の時の友だちがいました。ぽんぽこはベッドのうえでクマのプーさんのTシャツを着て、オムツを付けられていました。
大量に飲んだ睡眠薬は胃洗浄され、若干の口酸っぱさを残し、ベッドに寝かされたみたいです。
睡眠薬を飲み込んだあの日、大学の友だちが電話口で異変に気が付き、救急車を手配してくれたようで、部屋の鍵は管理人さんが事情もわからず開けてくれたみたい。ぽんぽこは電話をした事さえ覚えていないぐらいなんですが…。
その後すぐに退院しましたが、その日を境目に幻聴が聴こえるようになりました。誰かに呼ばれている気がしてそちらに行くと、誰もいない。電話がなったと思えど、見ても着信はない。外を歩くと音はうるさくなり、歩くことも出来ない。
常に頭のなかは音や声で溢れかえりうるさくて仕方がない。
人と話をしても、その人の考えていそうなことが頭をめぐり、まともな会話も出来ない。ぽんぽこは病院で統合失調症と診断されました。
ぽんぽこが?
何かの間違いじゃないの?
みんなの模範だって表彰されたことだってあったのに。なんで。なんで。
ぽんぽこは自分が世界から否定されている気がしました。
“人間はなんの為に生きてるのか。人間は一体なんの為に生まれてくるのか。”
“もしそれが子孫を残す為だというのであれば…。”
“ぽんぽこは遺伝子レベルで否定されている。”
これもあれもすべて妄想。すべてぽんぽこが生み出した幻聴が聴かせる虚構。
まともな思考が出来なくなったぽんぽこは夢をあきらめてしまいました。これからは普通の社会人。
普通?
“アイドルを目指し、芸能人を目指し、就職活動をしたこともないぽんぽこが普通になれるのか?普通ってなんだ。みんなが出来る事をぽんぽこは出来ない。”
“みんなは結婚し、子どもが生まれ、必死で養おうと頑張って働いている。”
“そんな普通の事がぽんぽこには出来ない。”
“多数決の原理で回っている社会では、少数派は排除される。普通のことが出来ないぽんぽこは人の迷惑。ぽんぽこは生きているだけで人々に迷惑をかけている。”
“ぽんぽこは自分の知らない所で人を傷つけ、自分の知らない所で邪魔をしている。”
妄想。幻聴。妄想。
ぽんぽこは怖くなり、一台の自転車を買いました。そしてぽんぽこの事など誰も知らない土地へ漕ぎ出す。新潟、千葉、鳥取、広島、大阪、山口、福岡、香川…。
時間だけは沢山ありました。色んな土地に向かい、そこで暮らす。
しかし、どうやっても人がぽんぽこに話しかけてくる。ぽんぽこは目立つ。外見だけは良いのです。ぽんぽこは笑ってその受け答えをする。蓋をする。そしてその1時間後にぽんぽこは自分が喋った事があの人を傷つけていないだろうかと不安になる。
次の土地へ。次の土地へ。次の土地へ。
どこまで行ってもぽんぽこは独りになることが出来ず、だからと言って死ぬ勇気も、もう持っていない。
海を見つけては泣き叫び、山を見つけては地団駄を踏む。
どうしたらいいんだ。
どこに行ってもぽんぽこを独りにはしてくれない。どこに行っても。どこにいても。
結局、ぽんぽこの行動できる範囲では現状から逃げることも出来ず、何も変わらないことに気がついたぽんぽこは実家に戻り、統合失調症の治療に専念することにしました。
空いた穴は新しいものが入れられる
月日は流れ、病気になり何年も経ちました。
その間にカウンセリングを受けたり、病院で診察したり、薬を処方してもらったり、そういう施設でリハビリをしてみたりしましたが、幻聴は今でも聴こえるままです。
でも、流石に何年も病気と向き合ってるとこれは幻聴なんだな。これは現実なんだなという区別は出来るようになりました。生活に支障が出ない程度には対応出来るようになってきたつもりです。
ぽっかりと空いてしまった穴。芸能人になろうと志し、それだけを求めて人生を送ってきたぽんぽこは目標を失いました。
ただやはりぽんぽこは人が悩んだり悲しい時に笑わせたり、相談に乗ったり、話を聞いて上げること、人の不安などを取り除く事が好きなようで、出来るだけ多くの人を笑顔にしたり驚かせたり、感動させたりしたい。
そう考えて他の道も探してみましたが、結局どんな仕事も人と面と向かって関わって何かをしなければならない。
つまる所、ぽんぽこのネックはそこなのです。
でも一つだけ、人とあまり関わらずに、多くの人の目に触れ、人の心を動かす事が出来る方法がありました。
それが文章を書く事。
だからぽんぽこはブログを書き続けることにしました。毎日更新などは結構難しいですが、自分のペースで文章を書く。その文章が誰かの心に響き、コメントがもらえる。
その時に、
「あぁ。ぽんぽこも少しは人の役に立っているのかな。ぽんぽこにも生きている意味があるのかな」と思える事が出来ます。
あれだけ伝わらないと思っていた事が、どこかの誰かには伝わってくれる。それがぽんぽこを安心させる。
いずれは作家になりたいなと思いますが、それはまだ先の話。
色々な事がありましたが、幸せだと思える日が増えてきました。いずれぽんぽこも人と同じくどこかで死ぬとは思いますが、それまでに沢山の経験を積み、亡くなってしまった二人の子どもに天国でいっぱいいっぱい語って聞かせてあげたい。
それだけを糧に今日も生きています。
ぽんぽこきつね
追伸。
ここまで読んでくれて本当に本当にありがとうございました。この文章が誰かを傷つけているのではないかと、きっとずっと不安を抱えるとは思いますが、少しでも知ってほしかったので書きました。もし、あなたの気に触ってしまった事を書いていたらごめんなさい。
でも、最後まで読んでくれて本当にありがとう。
少しずつでも、成長したいと思っています。
数年後の追伸
この文章を書いてから、再び数年が経ちました。最初にこれを書いた時は、正直な所、更新ボタンを押すのが怖くて怖くて仕方がありませんでした。
ぽんぽこはこれまで、過去のことも、自分の病気の事も話して来なかったし、書くことは表面上何にでもなれます。
実際の自分がどれだけポンコツであっても、文章を書く時だけはスーパーマン。これは別に嘘を書いているわけではなく、ポジティブな気分の時だけを切り抜いているのです。
だけれど、この記事をきっかけに強がることを辞めました。
子供が死んで、統合失調症という病気になって、元の自分を取り戻そうと色々と試しました。病院とかカウンセリングとか自己啓発とか、宗教書とか、セミナーとか。
どれもこれも、始めた瞬間は効果があります。これから前向きに生きていけるんだ!という光が見えた気がするのです。
だけれど、それらはすべて次の苦しみの為の助走でしかありません。高く登れば登るほど、落ちた時にダメージがデカい。
強く生きて。ポジティブに。プラス思考で頑張ろう。いろんな言葉が聞こえてきます。
だけど、みんなわかっていない。ぽんぽこは普段はポジティブだし、相当のプラス思考人間だと思うのです。
しかし、ふとした時にスイッチが入ってしまうのです。自分が許せなくなってしまうのです。
だったらもう過去を隠すのは辞めよう。過去を消すのは辞めよう。ネガティブだっていいじゃないか。病気だっていいじゃないか。弱くたっていいじゃないか。
そう開き直る決意としてこの文章を書きました。
ぽんぽこがこうなったのは、きっと何か意味がある。
この文章を読んで100人中99人がぽんぽこを嫌いになるでしょう。気持ち悪いと思うでしょう。ぽんぽこに騙されたと思うでしょう。良いことばかり言っていたじゃないかと。だけど一人。これを読んだ、たった一人のあなたの悩みが少しだけでも軽くなるならそれでいいのです。
あなたの悩みも、きっと何か意味がある。
あなたが悩んで、悩んで、悩み抜いて得た経験が誰かを幸せにするきっかけになるかもしれない。
だから悩みに負けないで。悩みを愛してあげてください。悩む自分を大切にしてあげてください。
ぽんぽこは最近思うことがあります。
あれ?今が人生で一番楽しいんじゃないか?と。
離婚相手の連絡先は知りませんが、ネットショップなどをやっていたので、それをちょろっと拝見した所、あちらは再婚し家族にも恵まれ、すくすく育って幸せそうです。良かった良かった。
それに比べてぽんぽこはあれから恋愛もしていませんし、お金もありません。友人も少ないし、人から見れば何一つ羨ましいと思える要素などないでしょう。
でも、なぜかこう思えるのです。今が一番楽しい。あの時死ななくて良かったのかもと。
音楽を聴いて散歩をして、時々入ったコンビニで新作のお菓子のパッケージを見ては味を想像し、図書館で読みたかった本を借りては2週間では読みきれずに返したりする。
なんて事ない日常。今でも子供とすれ違うと自分の子供が生きていたら…と落ち込む事もありますが、意外と自分は子供に好かれる性格らしく、懐いてくれる子供たちと遊んだりも出来るようになりました。
何が変わったというわけではありません。ぽんぽこが死んでも死ななくても世界は変わらずに周っているだろうし、今でも自分は無価値で失敗作なんだと思ったりもします。離婚相手が今では子供に恵まれて健康に育っているという事はぽんぽこに原因があったんだなって考える事もあります。
だけれど、今が一番楽しい。
人生はドラマみたいにある日突然、運命の針が動き出したなんて事にはならないのかもしれません。ターニングポイントと思えるその日がどれだかわからないなんて事だってあるでしょう。
じわじわと、じわじわっと変わっていく。
自分の手の爪を見て、昨日より伸びたな!と気がつく人は少ないでしょう。毎日付き合っている自分の変化は、自分では気が付かないものなのかもしれませんね。
だから、ぽんぽことあなたが必要なのです。
ぽんぽこの変化をあなたが見つけ、あなたの変化をぽんぽこが見つける。
あなたの存在がぽんぽこを助け、ぽんぽこの存在があなたを助ける。思い出した時にたま~にぽんぽこのサイトを覗いてみてください。きっと何かしらの変化があなたには見つけられるはずです。
そしてそれを出来ればぽんぽこに教えてください。ぽんぽこはきっと喜ぶ事でしょう。あなたは「人を幸せにする力」を装備しているのです。なんと強い伝説の武器。
あ。最後になりますが、依存してしまう自分の性格を治す為に色々と探していた時に発見して、非常に心を動かされた言葉があります。
自立とは一人の力で立つことではなく、頼れる場所を沢山持っている事
なんだそうです。
そんな場所のひとつにこのブログがなってくれたらいいな〜。
ここまで読んでくださってありがとうございました。本当に。ぽんぽこの文章は長くなってしまうので、ちゃんとここまで読んでくれたあなたは相当忍耐強い人なのでしょう。
ひとつ、良いところを発見。
あなたの人生が、これから沢山の人を幸せにしますように。
ではでは。
ぽんぽこきつね
おまけ:ぽんぽこきつねになって
気が付いた人も少なくないかもしれませんが、この記事を書いたのは「ぽんぽこきつね」になる前の別アカウントでした。
それをぽんぽこになってから、ぽんぽこを知ってくれた人にも改めて読んでもらおうと加筆修正したものなのです。
「本当に怖いのは幽霊ではなく人間」
というような事が良く言われます。
たとえば幽霊は目に見えませんが、見えないからこそあれこれ想像して怖いのです。
しかし、これがもし人間だったらどうでしょう。
目に見えない人間が、常にあなたを見ていて、もしかしたら実害を与えてくるかもしれない…なんて事を想像してみると幽霊の何倍も怖いですよね。
そう。そんな出来事がぽんぽこに起こりました。
ある日突然、ポストに「今月のぽんちゃん(別垢名)」とラベルが貼られた写真集が送られてきたのです。
ぶ厚いアルバムを開いてみると、そこにはぽんぽこの隠し撮りされた写真がびっしり詰まっていました。
30日間ずっとどこかでぽんぽこは見られていて、写真を撮られていたのです。
・・・こわわ(; ・`д・´)!
もちろん、アルバム自体はぽんぽこの姿でびっしりだったので、それなりに見た目が整ったかわいい人間(自画自賛)が立ち並んでいるだけでした。
しかし記憶をさかのぼって、この瞬間のこの角度にいたのか?と考え出すと恐怖で手が震えました。
もちろんすでにストーカー事件については解決済みです。
ですが、その事件で人間に怯えたぽんぽこは、長年使っていたアカウントを削除し、まっさらなキャラクター「ぽんぽこきつね」を作り上げる決意をしたのです(まぁ、途中でもう一人のキャラクターも作ったんですが、その失敗を経てですが…)。
そして今ではゲーム配信をするようになりました。
ちなみに。
「ぽんちゃんって女性ですよね?」
「ぽんちゃんって男性なんでしょ?」
などなど初対面の人に聞かれる事があるので、やはりコミュニケーションを取るうえで相手の性別と言うのは重要な割合を占めるようです。
しかし、さっき話したような体験から、ボイスチェンジャーなどを使い、自分の年齢、性別、個人を特定できる何かを明かす事は控えようと思っているのです。
文章に関しても癖が強くて特定されやすい文体だったので、時々男性っぽく書いたり、女性っぽく書いたりごちゃまぜにして工夫しています。
これについてはこう考えてみてください。
例えばあなたがパンダをみる時「このパンダ可愛いなぁ…」と思ったとしても、メスパンダだから可愛い。オスパンダだから可愛い。という事にはなりませんよね。
それと同じで「ぽんぽこきつね」はそういう性別を超えた何かだと思ってください。
なので「ぽんぽこきつね」のキャラクターの年齢や性別に関しては、とりあえず推測して議論して楽しむ話の種ぐらいに捉えてくださったら光栄です。
ゲーム配信は舞台に立っていた頃の夢を少し疑似体験できるみたいで楽しいです。
リアルの世界じゃ愚痴を吐き出しにくいし、友達の前じゃイイ顏しなきゃだし、生きていくにはお金が必要で悩みを解消する暇もなく心をすり減らして生きている人も多い事でしょう。
そんな時にゲームして、ストレス解消出来たら最高でしょ?
でもなぜかゲームをやってさらにストレス溜まっちゃったりする人が多いようです。
そこでぽんぽこはゲーム配信を通してストレスを癒しに変えられたら良いなぁと考えたのです。
楽しくゲームをする事で「自分もこんな風に楽しくゲーム出来たら良いなぁ」って思ってもらえたら。
楽しいものをものすごく楽しんでいる人がそばにいる時、人は吊られて笑ってしまう。
幸せはいつも自分の心が決める。あなたが幸せになりたいと決意した時、ぽんぽこの里に来てくれればきっと大丈夫。
「楽しい」は何にも負けないんじゃ。
…という真面目な話をここまで真剣に読んでくれて本当にありがとう。
このサイトでは、新しい記事はもちろんの事、ぽんぽこが今までに別名義で書いてきた記事などを、改めてぽんぽこ目線で加筆修正して紹介していきたいと思います。
良かったらお付き合いくださいませ。
ぽんぽこぽん🍁